「業務にAIを活用したいけれど、どのツールを選べばよいかわからない」
「Geminiを使ってみたけれど、うまく使いこなせていない」
とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
GeminiはGoogleが開発したAIチャットで、日本語・無料で利用できます。
長文や画像の理解に長けている点、Googleのサービスと連携できる点から注目されており、ぜひ使い方を知っておきたいサービスです。
この記事では、Geminiの特徴やChatGPTとの違いから、実際の使い方、活用事例までわかりやすく解説します。
Geminiを使えるようになりたい方、業務にAIを取り入れたい方はぜひ最後までお読みください。
Gemini(ジェミニ)の概要をおさらい
Gemini(ジェミニ)とは、Googleが公開する生成AIツールです。
ChatGPT同様にチャット形式であり、人間のように自然な会話ができます。
旧名はBardであり、最上位モデルである「Gemini Advanced」の公開とともに名前が変更されました。
サービス内容に大きな違いはありませんが、機能が拡充されたほか、Bardのころにはなかったモバイルアプリもリリースされています。
GeminiはGoogleが開発しているためGoogleの各種アプリとの連携が可能であり、ビジネスシーンでも活用が進んでいます。
とくにGoogle検索から最新の情報にアクセスできる点が強みです。
ただし、Geminiを利用する際は、ChatGPTと同じく、必ずしも正しい回答を返すわけではないことに注意が必要です。
Geminiの何がすごい?5つの特徴を紹介
Geminiの特徴は以下の5つです。
・Google検索でダブルチェックできる
・Googleのサービスと連携できる
・出力結果をエクスポートできる
・画像での入力・出力に対応している
・回答案を3つ提示してくれる
1つずつ解説していきます。
Google検索でダブルチェックできる
Geminiの特徴1つ目は、Google検索でダブルチェックできることです。
「回答を再確認」ボタンから、Geminiが生成した回答を裏付ける情報が存在するかどうかを確認できます。
ボタンを押すと、回答に類似したコンテンツが見つかった場合と、回答と異なる可能性があるコンテンツが見つかったり関連性のあるコンテンツが見つからなかったりした場合が、それぞれ違う色でハイライトされます。
また、該当するコンテンツのURLも表示されるため、すぐに参照することが可能です。
Googleのサービスと連携できる
Geminiの特徴2つ目は、Googleのサービスと連携できることです。
拡張機能を利用することで、Google Workspace・Googleマップ ・YouTubeと連携できます。
ビジネスではGmail、Googleドライブなど、Google Workspaceを利用することが多いでしょう。
過去のメールを検索したり、Googleドライブ上のドキュメントを要約したりできるのは、作業時間の短縮につながります。
また、Googleカレンダーとの連携も可能であり、「X/XのX時から会議の予定を入れて」とGeminiに伝えることで簡単にカレンダーが設定できます。
出力結果をエクスポートできる
Geminiの特徴3つ目は、出力結果をエクスポートできることです。
Geminiで生成したコンテンツは、「共有とエクスポート」ボタンから、GoogleドキュメントやGmailに出力できます。
ChatGPTの場合は、生成された回答をコピーして自分で貼り付ける必要があるため、Googleツールへの出力に関しては、Geminiのほうが便利といえるでしょう。
画像での入力・出力に対応している
Geminiの特徴4つ目は、画像での入力・出力に対応していることです。
画像と文字に対して、Googleレンズを使って回答することができます。
たとえば、写真を入力して花の名前を質問すると、画像の通りの回答が得られました。
また、画像を出力することも可能です。
知りたいことを直感的に理解できるよう、画像もあわせて回答してもらうのもよいでしょう。
回答のスタイルを調整できる
Geminiの特徴5つ目は、回答のスタイルを調整できることです。
Geminiには「回答の再生成」ボタンがあり、回答に対して以下の操作をすることが可能です。
・短くする
・長くする
・シンプルにする
・カジュアルな表現にする
・専門的な表現にする
また、複数の回答案から好ましいものを選ぶこともできます。
GeminiとChatGPTの比較
GeminiとChatGPTはどちらも生成AIであり、自然な回答ができる点で類似していますが、それぞれに強み・弱みが存在します。
GeminiとChatGPTの比較を表に整理しました。
Gemini | ChatGPT | |
開発元 | OpenAI | |
入力文字数 | 無料版:最大で約10万字有料版:最大で約70万字 | 無料版:約10,000字有料版:約25,000字 |
情報源 | リアルタイムのGoogle検索 | 学習した内容(ウェブのクロールも可能) |
画像処理 | 可能 | 可能 |
拡張機能 | Googleのサービスで利用可能 | 豊富なプラグイン |
カスタマイズ性 | なし | カスタムバージョン(GPTs)の構築が可能 |
ChatGPTは汎用性と自然なコミュニケーションが得意である一方、回答の正確性には注意が必要です。
これに対してGeminiはChatGPTに比べて汎用性が低いですが、リアルタイムのGoole検索や回答の再確認ができること、Googleのサービスと連携できることが強みです。
回答の事実確認を効率的に行いたい方、Googleのサービスをよく利用する方はGeminiを活用するのがよいでしょう。
無料でも使える!Geminiの料金プラン
Geminiは無料で使うことができますが、有料プランも存在します。
無料プランと有料プラン「Gemini Advanced」の違いは以下の通りです。
無料プラン | 有料プラン(Gemini Advanced) | |
料金 | 0円 | 2,900円/月 |
機能 | Gemini 1.5 Flash | Gemini 1.5 Pro |
入力文字数 | 最大で約10万字 | 最大で約70万字 |
その他 | ー | ・新機能への早期アクセス・2TBのクラウドストレージが付属・Google Oneプレミアムの特典(Google Meetの追加機能など) |
Gemini Advancedでは、大規模なデータ処理や高度なコード生成・編集が可能になります。
論文の要約やデータ分析、コードのデバッグなどを行うときは、Gemini Advancedにアップグレードするのがよいでしょう。
Geminiを無料で始める方法
Geminiは無料でも十分にビジネスに活用することができます。
ここでは、Geminiを無料で始める方法をPCの場合、スマホアプリの場合に分けて解説します。
PCでGeminiを始める方法
PCでGeminiを始める方法を説明します。
- Geminiの公式サイト(https://gemini.google.com/?hl=ja)にアクセスし、「ログイン」ボタンからGoogleアカウントにログインします。Googleアカウントを持っていない場合は、アカウントを新たに作成しましょう。
- 「Geminiと話そう」をクリックします。
- 「利用規約とプライバシー」が表示されるため、下までスクロールし、右下の「Geminiを使用」をクリックします。なお、スクロールするまで右下のボタンは「その他」と表示されており、先に進むことができません。
- 「こんにちは、〇〇さん」と表示されたら登録完了です。
スマホアプリでGeminiを始める方法
続いて、スマホアプリでGeminiを始める方法を解説します。
- App Store、もしくはGoogle Playからアプリをダウンロードします。念のため、公開者が「Google」であることを確認しましょう。
- Googleアカウントにログインします。アカウントがない場合は作成しましょう。
- 「Geminiを使用」を押します。これによって利用規約に同意したことになります。
- 「こんにちは、〇〇さん」と表示されたら登録完了です。
チャット式で簡単!Geminiの使い方【写真で解説】
Geminiも他の生成AIツール同様、チャット式で簡単に使えます。
写真を示しながら、PC・スマホアプリそれぞれの使い方を解説します。
PCでのGeminiの使い方
PCでGeminiを使う方法を説明します。
「Geminiに相談」と書かれているスペースに質問を打ち込み、エンターを押す、もしくは送信ボタンを押すことでGeminiに質問できます。
試しに「おすすめの本」を聞いてみました。
「どのようなジャンルの本がお好みですか?」と返ってきたので、「ミステリーが読みたい気分」と伝えます。
Geminiはおすすめの本も挙げつつ、さらに深堀った質問もしてくれました。
このようにGeminiを活用すると、まるで人と会話しているかのように情報を入手できます。
また、チャットの管理も可能です。
チャットの新規作成、名前の変更、削除を活用することで、リサーチを円滑に進められるでしょう。
スマホアプリでのGeminiの使い方
スマホアプリの使い方もPCと変わりません。
下部にある「Geminiに相談」に相談内容を入力しましょう。
また、右下の音声のマークを押すと、音声で入出力を行えます。
おすすめの本を聞くと、「おすすめの本ですか?いいですね!どんなジャンルがお好きですか?小説、ビジネス本、自己啓発、それとも何か特定のテーマについて興味があるものはありますか?」と返ってきました。
スマホアプリの音声機能では、実際に人と話しているかのような感覚でGeminiから回答を得られます。
また、音声で入出力した内容もテキストとして確認できます。
有料版「Gemini Advanced」の使い方
有料版である「Gemini Advanced」を使うためにはプランをアップグレードする必要があります。
以下がアップグレードの手順です。
- 右上の「Gemini Advancedを試す」をクリックします。
- 「トライアルを開始」をクリックします。
- 「利用規約」に同意しましょう。
なお、Gemini Advancedを利用すると、Google OneというGoogleのメンバーシッププランに参加することとなります。Google Oneへの加入によって、Googleフォト・Googleドライブ・Gmail共通のストレージが通常の15GBから2TBに拡充されます。
- 支払い情報を入力し、「定期購入」をクリックします。
- 支払いが完了すると、「Gemini Advanced」が利用できます。定期購入であり、2,900円が自動的に毎月請求されることに注意しましょう。
Geminiから上手に回答を引き出すコツとは?
Geminiから望んでいる回答を得るためには、質問文(プロンプト)を工夫することが重要です。
とくに複雑なアウトプットを求めるときは、プロンプトによって条件を明確に伝えましょう。
Geminiから上手に回答を引き出すコツは、以下の3つを意識してプロンプトを作ることです。
・役割を与える
・背景情報を伝える
・アウトプット形式を指定する
たとえば、新商品のマーケティング企画案を作りたい場合を考えます。
何も指定せずに質問すると、以下の回答が得られました。
プロンプトを工夫してみます。
あなたは飲料メーカーのマーケティング担当です。 新商品として発売する梨を使ったアルコール飲料の販売促進をしたいと考えています。マーケティング施策を最低3つ考えてください。 条件は以下の通りです。 ・予算は1,000万円 ・顧客は20代後半~30代の男女 ・ブランドの認知はされている ・秋限定で発売する 各施策について期待できる効果を5段階で評価してください。 |
以下の通り、より具体的で効果が得られそうなアイデアが返ってきました。
Geminiは条件が与えられない限り、汎用的な回答を返すため、実際のビジネスシーンでは活用しづらいことがあります。
プロンプトを工夫して、上手に回答を引き出しましょう。
Geminiを使うときの注意点
Geminiは便利ですが、使うときに注意しなくてはならない点もあります。
・間違えた情報が出力されることもある
・著作権の有無を確認する必要がある
それぞれわかりやすく説明します。
間違えた情報が出力されることもある
Geminiを使うときに注意すべき点の1つ目は、間違えた情報が出力される可能性があることです。
GeminiはGoogle検索から情報を取得できるものの、必ずしも正確な情報とは限りません。
正確性が求められる場合は、回答の再確認機能を利用してダブルチェックしましょう。
生成AIは、ハルシネーションといって事実に基づかない情報を出力することがあります。
自然な会話ができるためもっともらしく見えますが、十分に注意してください。
著作権の有無を確認する必要がある
Geminiを使うときに注意すべき点の2つ目は、著作権の有無を確認する必要があることです。
Geminiはインターネット上の情報から学習しており、回答が既存の文章・画像と酷似する可能性が大いにあります。
気づかずにそのまま使ってしまうと、著作権侵害になってしまうかもしれません。
コピーコンテンツに該当しないかのチェックを必ず行いましょう。
また、引用という形式をとるときは引用元情報を明記しましょう。
Gemini活用事例7選【スクリーンショット付き】
最後に、Geminiの活用事例を7つ紹介します。
1. 文章の要約
2. Webページの要約
3. アイデア出し
4. 画像の読み取り・出力
5. SEOキーワードの選定
6. データ分析
7. チェック・校正
1つずつスクリーンショット付きで見ていきましょう。
1. 文章の要約
まずは文章の要約です。
昔話「桃太郎」を要約してもらいました。
要約では、簡潔にわかりやすく、登場人物を盛り込んで、結末までの出来事を時系列順にまとめたようです。
2. Webページの要約
続いて、Webページを要約してもらいます。
Google Oneのホームページ(https://one.google.com/about/benefits/)の内容を箇条書きでまとめるように指示を出しました。
URLを参照し、Google One AI Premiumプランの概要を指示どおり箇条書きで返してくれました。
3. アイデア出し
Geminiはアイデア出しも可能です。
今回はプロンプトも工夫して質問しました。
プロンプトは以下です。
あなたは60歳になる父へのプレゼントを考えています。 以下の条件を踏まえて、アイデアを5つ出してください。 #条件 ・誕生日は6月 ・直近3年でワイン・傘・マッサージ機をプレゼントしたので、被らないようにしたい ・父はアウトドアや食べることが好き ・予算は2~3万円 |
以下の回答が得られました。きちんと条件を踏まえたアイデアを挙げてくれています。
・高性能な双眼鏡
・こだわりのアウトドアクッキンググッズ
・高級なアウトドアチェア
・産地直送のグルメギフト
・体験ギフト
4. 画像の読み取り・出力
Geminiは画像の読み取り・出力も可能です。
ここでは、アウトドアチェアに座る男性の画像を参照URLとともに出力してもらいます。
istockから画像を見つけてくれました。
5. SEOキーワードの選定
続いて、SEOキーワードの選定です。
AIツールに関するキーワードを「基礎キーワード」「用途別キーワード」「ビジネス活用キーワード」「トレンドキーワード」「その他関連キーワード」に分類して教えてくれました。
実際にSEO記事を作るときはこれらのキーワードについて、Googleキーワードプランナーで月間検索数を調べるのがよいでしょう。
6. データ分析
Geminiをデータ分析に活用したい方もいるでしょう。
無料版ではファイルの分析をすることはできません。
ただし、簡単な計算は行うことができます。
以下では、与えられた値から利益率を算出しています。
7. チェック・校正
生成AIはチェック・校正を得意としています。
この記事のリード文にあえて誤字・脱字を紛れさせ、修正を依頼しました。
脱字「Gogle」、誤字「ChatGPTとの遅配」をどちらも指摘のうえ修正してくれました。
まとめ
GeminiはGoogleが提供する、自然な会話ができる生成AIツールで、ChatGPT同様に業務効率化の観点から注目されています。
とくにGoogleでリアルタイム検索・回答の再確認ができること、Googleの各種サービスと連携されることがGeminiの強みです。
また、長い文章の読み取りにも対応しているほか、画像の読み取り・生成、データ分析にも活用できます。
このようにGeminiは便利なツールですが、間違えた情報や既存コンテンツと酷似した内容が出力されることもあるため注意が必要です。
適切に、そして効果的にGeminiを活用して、業務効率を高めましょう。