「どのような事業であっても、まずはコンセプトを決めることが重要」とは聞くけれど、実際はコンセプトの決め方が分からず、なかなか進まないという方もいるのではないでしょうか。
コンセプトの決め方は、大きく3ステップに分けられます。各ステップを踏むことで、コンテンツ販売のコンセプトが明確になり、誰でも売上アップが目指せるでしょう。
この記事では、コンセプトの決め方をステップごとに詳しく解説するほか、コンセプトを決める際のポイントや、コンセプト設計がうまくいっていることで成功を収めた有名な事例についてもご紹介します。
「コンテンツ販売のコンセプトを明確にしたい」とお考えの方はぜひお読みください。
コンテンツ販売における「コンセプト」とは?
コンセプト(concept)は「概念」や「構想」と訳される言葉で、わかりやすく言い換えると「物事の骨格となる発想や観点」のことです。
日常的にも使われるコンセプトですが、コンテンツ販売をはじめとするビジネスにおいては、「商品・サービスが目指す方向性」を表します。
具体的には、以下の枠組みを指します。
・どのような顧客に、何を提供し、どのような価値を与えるのか
・それによって実現したいビジョンは何か
コンセプト設計はこれから作ろうとする商品・サービスに対する意図と目的を明確にし、他者と共有するためのものであり、コンテンツ販売で成功するために欠かせない作業です。
コンセプト設計はコンテンツ販売の第一歩
コンテンツ販売を始めようとするとき、すぐに商品を制作しようと考えてしまうかもしれません。しかし、必要な工程を踏まずに商品制作に取りかかると、商品がまったく売れなかったり、商品ができるまでに想定以上の時間がかかったりするおそれがあります。
商品制作までの流れは以下の通りです。
1. コンセプトを決める
2. マーケティング設計を行う
3. 商品を制作する
コンテンツを販売するときは、まず商品・サービスが目指す方向性である“コンセプト”を決定し、そのあとにマーケティング設計、商品制作へと進みます。そうすることで、ニーズのある商品を作ったり、軸をぶらさずスムーズに商品を完成させたりすることが可能です。
コンテンツ販売にコンセプト設計が重要である3つの理由
コンセプト設計はコンテンツ販売の第一歩であり、欠かすことができない重要な工程です。
コンセプト設計が重要である理由は、以下の3つです。
・商品やサービスの方向性が明確になる
・ターゲットに届きやすくなる
・競合との差別化が図りやすくなる
それぞれについて、わかりやすく説明します。
商品やサービスの方向性が明確になる
コンセプトを決めることは、商品やサービスの方向性が明確になることを意味します。
商品を制作する過程では、しばしば議論が拡散したり軸がブレそうになったりしてしまうものです。そのときにコンセプトを設計していれば、すなわち「どのような顧客に、何を提供し、どのような価値を与えるのか」が決まっていれば、コンセプトに立ち返って議論の方向性を修正できるでしょう。
また、商品制作の途中で複数の意見が出たときに、方向性が合っているかを確認しながら意思決定できるのも、コンセプトが重要である理由の1つです。
ターゲットに届きやすくなる
コンセプトを設計していると、商品をターゲット顧客に届けやすくなります。
コンセプトを明確にせず幅広い顧客ニーズに応えようとすると、興味を持つ人は多くても実際には購入に至らないという状況に陥ります。一方、コンセプト設計を行っていると、顧客像や提供価値が明快になり、訴求力の高い商品を制作できるのです。
さらに、広告媒体・時間やキャッチコピーをよりターゲットに刺さりやすいものにできるため、マーケティング精度の向上も期待できます。
競合との差別化が図りやすくなる
コンセプトを設計すると、競合との差別化が図りやすくなります。
コンセプトを決める際には、自分たちが何をしたいかを考えるだけでなく、市場調査や競合分析も行います。すなわち、コンセプト設計をすること自体が、自社の独自性を明確にし、競合との差別化を実現することを意味するのです。
コンセプト設計の過程で競合と差別化ができていると、売上が向上する確率が高く、ビジネスが成功しやすくなるといえるでしょう。
【3つのステップ】コンテンツ販売でのコンセプトの決め方
コンテンツ販売のステップは、以下の3つです。
1.自分の強みやアピールポイントを見つける
2.市場をリサーチして売れる商品を決める
3.発信するコンセプトを決める
それぞれについて、詳しく解説します。
自分の強みやアピールポイントを見つける
ステップの1つ目は、自分自身の経験やスキルの棚卸しを行い、強みやアピールポイントを見つけることです。
まず、自分の経歴を時系列に細かく整理し、できることを1つひとつ整理しましょう。この際のポイントは、実績や成果を数値で具体的に書き出すことです。また、仕事に関わらず、趣味や子ども時代の習い事なども洗い出しましょう。
例えば…
・2010年に〇〇株式会社に入社してマーケティング部門に配属された。マーケティング部門では2015年からリーダーを任され、Webからの集客率を20%向上させた
・10歳から続けているピアノではコンクールで優勝した
のような感じです。
そして、このステップで重要なのは、できる部分だけでなく、それがやりたいことと重なる点を見つけることです。できることだけを考えて事業を始めてしまうと、短期的には稼げるかもしれませんが、長く仕事を続けていると「本当にこれがやりたい仕事だったのかな」「なんか仕事がつまらない」と感じてしまう可能性があります。
モチベーションを高く持って仕事を続けるためにも、仕事に対する目的や理念を明確にしておきましょう。
市場をリサーチして売れる商品を決める
できることとやりたいことが重なる部分が見つかっても、すぐに商品制作を始めてはいけません。なぜなら、それに対してお金を出してでも解決したい人がいるかがわからないためです。
そこで2つ目のステップでは、市場をリサーチしてユーザーニーズを調査しましょう。
ニーズ調査の方法は以下の3つです。
・Amazonで本を探す
・Googleで検索する
・Yahoo!知恵袋で直接悩みを調べる
1つずつ説明します。
Amazonで本を探す
1つ目は、Amazonで本が売られているかを確かめる方法です。本が売られているということは読みたい人がいるということ、すなわちニーズがあることを意味します。
ただし、口コミが1件以上付いている本のみが対象です。口コミが付いていないと、作者がニーズに関係なく、出版したいから出版しているだけという可能性があります。
Googleで検索する
2つ目は、Googleで検索する方法です。
例えば「ダイエット 食事方法」と検索すると多くの記事が見つかります。一方で検索してもほとんど記事が出てこない場合は、ニーズが低く仕事になる可能性が低いといえます。
検索するときは10件を基準として、検索結果が10件も出てこないものはニーズがないと判断しましょう。
Yahoo!知恵袋で直接悩みを調べる
最後の3つ目は、Yahoo!知恵袋で直接悩みを調べる方法です。
Yahoo!知恵袋は、一般人が悩みを投稿して、それに対していろいろな人が回答するというサイトです。つまり、一般の人がどのような悩みを持っているかを知ることができます。
実際の顧客の気持ちになって「ダイエット」などと検索すれば、具体的にどのようなことで悩んでいるか、ニーズがあるのかを確認できるでしょう。
発信するコンセプトを決める
1つ目・2つ目のステップを経て「できること」「やりたいこと」「ニーズ」のすべてを満たすものが見つかったら、ようやく発信するコンセプトを決めていきます。具体的には、どのような顧客に、何を提供し、どうやって、どのような価値を与えるのかを明確にします。
できることだけを考えてコンセプトを決めてしまうケースがよくありますが、丁寧に順を追ってコンセプトを設計することが重要です。
このように、コンセプトはパッと思いつくものではなく、徹底的に自分の棚卸しを行い、ニーズを調査した結果として決められるものです。きちんとステップを踏んで、成果につながるコンセプトを決めましょう。
有名なコンセプト3つの事例
ここまで、コンセプトの重要性、コンセプトの決め方をお伝えしてきました。
では、実際のコンセプトにはどのようなものがあるのでしょうか。以下3つのコンセプトを紹介します。
・スターバックス
・スシロー
・ダイソン
コンセプトを決める際の参考にしてみてください。
スターバックス
スターバックスのコンセプトは「サードプレイス(第3の場所)」であり、コーヒーではなく空間を提供していることで有名です。
もともとは、家でも職場でも気を休めることができない人が、日常的に30分間駆け込める避難所としてスタートしました。現在でもコンセプトは変わっておらず、おしゃれで快適な空間でゆったりと長時間滞在することも可能です。
また、このコンセプトは従業員にも浸透しており、心地のよい接客を受けられるのも魅力となっています。
スシロー
回転寿司チェーンのスシローは「うまいすしを、腹一杯。」をコンセプトに掲げています。
寿司といえば特別なときに食べる高価なものというイメージが強かった中で、一般家庭でも日常的に楽しめるようにとコンセプトを設計し、多くの顧客から支持されるようになりました。
また「うまいすし」とあるように、魚をきびしく仕入れたりネタの鮮度管理を徹底したりと、味にも強いこだわりを持っています。
ダイソン
ダイソンの掃除機は、「吸引力の落ちないただ1つの掃除機」をコンセプトとしています。
掃除機に求めることは軽さ・吸引力・可動性などさまざまですが、ダイソンは吸引力を価値として提供することをコンセプトにしており、顧客からも吸引力を求めるならダイソンという認知を獲得しています。
このように、ダイソンの掃除機はコンセプトによって商品がターゲットに届きやすくなっている代表的な例の1つです。
コンテンツ販売におけるコンセプトの決め方3つのポイント
最後に、コンセプトの決め方のポイントを3つお伝えします。
ポイントは以下の3つです。
・誰のどのような悩みを解決するかを明確にする
・競合にはない独自性を考える
・わかりやすく表現する
コンセプトを決める際には、これら3つの点に注意しましょう。
誰のどのような悩みを解決するかを明確にする
繰り返しになりますが、コンセプトとは「どのような顧客に、何を提供し、どのような価値を与えるのか」といった枠組みのことです。
コンセプトを決めるときには、幅広い顧客ニーズに応えようとするのではなく、具体的な顧客を想定し、誰のどのような悩みを解決するかを明確にしましょう。これによって、商品制作の方向性が定まるとともに、マーケティングのターゲットが明確になり、顧客に商品が届きやすくなります。
競合にはない独自性を考える
コンセプトを決める際には、競合にはない独自性を考えることも重要です。
「できること」「やりたいこと」「ニーズ」が合致していたとしても、似たような商品が多ければ、あなたの商品を購入する動機は生まれにくいでしょう。競合にはなく、自分の商品にはある強みが何なのかを明確にすることが大切です。
その強みこそが、コンセプトにして顧客に伝えていくべき大切な要素となります。
わかりやすく表現する
最後に、わかりやすく伝わるコンセプトになっているかを確認しましょう。
コンセプトは誰にでもわかりやすい簡潔な表現にする必要があります。ついつい奇抜でかっこいい表現にしたくなってしまうかもしれませんが、誰が見ても理解できることを優先しましょう。
また、視覚的にイメージしやすいよう、絵やデザインによって表現するのもよいです。
まとめ
この記事では、コンセプトが重要な理由、コンセプトの決め方、具体的な事例などをお伝えしました。
コンセプトをパッと決めてしまうとニーズがなくて売れなかったり、商品の軸がブレてしまったりしますが、記事で紹介した3つの手順を適切に踏めば、適切かつ簡単にコンセプトを設計でき、誰でも売上アップが目指せます。
さっそく、経験やスキルの棚卸しを行い、自分の強みやアピールポイントを見つけるところから始めてみましょう。